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旅人くん (1巻)
著者  :永島慎二
出版社名:グループ・ゼロ
掲載誌 :マンガの金字塔

旅人くんの詳細

あらすじ:

旅人くんは休まず歩き続ける。ほんの少ししか変化はない。それはぼくらの人生に似ている。昨日と今日は似ていて、おなじような日常が連続しているようにみえるが、実は昨日と今日は全くちがうのだ。そして明日は予測できない。旅人くんは砂時計の砂の砂漠を旅している。現在コミックと呼ばれているストーリー漫画とはまるでちがう。さりとて4コマ漫画や8コマ漫画といった種類の漫画でもない。永島慎二独りだけの世界だ。なぜこの世界に辿り着いたのか、それはぼくには解らない。絵で描いた永島慎二の人生の詩であり哲学だものね。旅人くんは一種のつぶやき漫画でもある。ひとり言を言いながら旅している。たとえば「時の流れがさ、しばしばおいらの歩みより早いことがある」なんて言う。ぼくもいつのまにか世間とズレてしまった。(やなせたかし)

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シリーズ

    • 旅人くん
      (2)
      永島慎二
      最近は電話に出るのも大変そうなので、しょうがないから久しぶりにまた昔の短編集を引っ張り出してみた。『漫画家残酷物語』や『フーテン』は言うに及ばず『四畳半の物語』や『まんが公園』。これがびっくりした。当時はただ絵のチャーミングさやまなざしの鮮烈さにばかり眼を奪われていたのですが、画面構成に対するこだわりが尋常ではないんです。上下左右縦横斜めにさかさま、更には掟破りのワンショット分割払い。すごいよ。漫画は動けないということを逆手にとって、動く映画の方が不便じゃないかとさえ思わされてしまう。まるで修行僧のように自分を追い込んでいる。永島さんはその孤独な道程のどこかで、行き止まりという立て札を見ちゃったんではないんでしょうか。それからは反対に、ゆっくりと“ビッグバンの生まれた場所”を捜しているような気がします。膨張点に達した宇宙のように・・・。そしてそれが“旅人くん”のわけなのだと思います。(森本レオ)

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